四段取得後に、当時所属していた道院の保護者から、近くで道院を開いて、少林寺拳法を教えてほしいと言われたのがきっかけでした。
忘れられないのは、当時の修練場所は冬に底冷えし、稽古前にコップに水を入れて玄関に置いておくと、帰りには凍っていたことです。
また、冬のある日、小学生低学年の子どもが、道場に来るなり泣き出し、どうしたのかと聞くと「寒い!」と一言・・・。
真冬は、ほぼ乱捕りばかりしていた記憶があります。今となっては懐かしい思い出です。
私は、「基本」を重要視しております。
少林寺拳法の技は、600種以上に及び、日々の修練で少しずつ習得していきますが、すべて「基本」が重要になります。何事も「基本」です。
基本の修練は、少年部の拳士も一般部の拳士も一緒に行います。
基本は、ピラミッドで例えるならば一番底です。いわば土台です。
土台がしっかりしていないと倒れます。
とにかく修練の一番最初は、「基本」を全員で行うことから始まります。
設立当時から、三重名張西道院の目標は、「大きな人は小さな子の面倒をよく見る。小さな子は大きな人の言うことを良く聞く。」です。
一人ひとりが自分勝手な行動をしていたら、道院は成り立ちません。
拳士一人ひとりが相手を思いやり、相手を考えて行動することで、道院が成り立ちます。
その考えが自然に身につけば、社会生活で必ず役に立ちます。
そんな人間を育てることができる道院を目指しています。
このことは、現在でも常にみんなに話しています。
三重名張西道院は、現在、最年少は小学1年生、最高齢は67歳と、幅広い年齢層で週2回、午後7時から9時まで、みんな楽しく、時には厳しく修練をしています。最近は、女性の拳士も増えてきました。
少林寺拳法は、身体を鍛えることだけでなく、心(精神)も鍛えていきます。
また年齢、体力に応じた修練をします。
みんな、和気あいあいと楽しみながら、汗をかいて体と心(精神)を鍛えています。
単身赴任中の52歳の時、友人の誘いで少林寺拳法の道院に見学に行きました。
当時は、ボディビルで鍛え、腕力には自信があったのですが、高齢の拳士から、「どこでもいいから掴んでみなさい。」と言われ、力いっぱい掴みかかりましたが、何度やっても倒され、一瞬のこの不思議な技に魅了され、入門させていただきました。
それから11年、途中3年の休眠もありましたが、先輩方の指導を得て、2019年に正拳士四段の允可をいただきました。
三重名張西道院は、小学生から60代の私まで、幅広い年齢の拳士が、厳しいながらも楽しく修練を行っています。私もライフワークとして、身体が動く限り少林寺拳法に関わっていく所存です。