今日がなんの日か知っているか?
(東北地震があった日)
そうだね、あれから11年が経った。
ここにいるほとんどの人はあの後に生まれた人だね。
先生は昨日のことのように覚えている。
大きな、大きな地震があった。
私はね、せめて君たちのような子どもが犠牲にならないように祈った。
でもね、実際はたくさんの子どもたちが命を落とした。
ところでA太君、この週末は何をするつもり?
(おばあちゃんの家に行く)
そうだね、亡くなったあの子たちも「明日は何をしよう」って思っていたんだ。
でもね、「明日」は来なかった。
なかには春に小学生になる子、中学生になる子だっていたはずだ。
大川小学校って知っているか?
地震直後に校庭にみんなで避難したんだ。
そこで何人かの子どもたちは大人に「津波が来るから高台に逃げよう」って言ったそうだ、だけど大人たちは判断を誤ってそのまま校庭に残り、子どもたちと一緒に津波に流されてしまった。
大人だって間違えるんだよ。
私だって間違いだらけだ。
だから自分の命を守るため、しっかりした判断力身につけてください。
力愛不ニと私はよく言う。この力は判断力でもある。
だから、しっかり学校の勉強もして、たくさんの人に会って、たくさんの経験をして判断力を磨いてください。
いいか?坊主のお経なんかじゃ亡くなった人は慰められない。
生きている私たちが亡くなった人のために唯一できることは、今を一所懸命に生きることだけだ。
泣いても、笑っても、怒ってもいい。
だけど、あの子たちが望んでも生きることができなかった今日を一所懸命に生きよう。
私たち金剛禅は死んだ人のために祈ることはしません。
だけど、一年に一度だけ、今日はみんなで祈ってください。
合掌、黙祷